教育室アクセシビリティセンター会議 承認
2016年4月1日
A ガイドラインの目的
本ガイドラインは,広島大学障害学生の就学等の支援に関する規則(平成16年4月1日規則第129号)第6条に定める,試験等に関する特別措置を円滑に実施するため,身体等に障害のある学生に対する試験等における特別措置について(申合せ)のCの第1項に従い,身体等に障害のある学生に対して他の学生と公平な評価を行うために必要な特別措置の内容・方法に関する基準を示すことを目的とする.
B 特別措置の対象者
広島大学障害学生の就学等の支援に関する規則(平成16年4月1日規則第129号)第3条に定める支援の申し出を行い,当該学生の所属学部, 研究科又は専攻科が,試験等における特別措置の必要性を認めている者
C 特別措置の内容・方法
通常の試験実施方法では,障害のある学生と他の学生との間で不公平が生じる場合,成績・評価の公平性の観点から以下の特別措置を講じることを検討する.以下の特別措置が適当でない場合は,以下の措置に準じて公平性を保障するための配慮をするか,あるいは,入学試験においては当該学生及び試験実施担当者,授業の成績・評価に係わる試験においては,当該学生及びチューター(指導教員)と担当教員が協議して,配慮の内容・方法を決定する.
1.特別措置の内容・方法(例)一覧
特別措置の種類 | 特別措置の内容・方法(例) |
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(A)試験室や座席に関する特別措置 | ① 入退室・途中退室がしやすい座席を指定 ② 移動・着席・支援・配慮が行いやすい座席を指定 ③ 感覚過敏,不安,アレルギー等の試験への影響が少ない座席を指定 ④ 特別措置を円滑に実施できる別室を指定 |
(B)情報保障に関する特別措置 | ① 重要事項(試験開始・終了,注意事項等)の文書伝達(板書,紙,筆談) ② 面接試験等におけるコミュニケーション配慮(障害特性への配慮) ③ 補聴用マイクの使用(赤外線方式等) ④ 通訳者(筆記通訳,手話通訳,読み取り通訳等)の配置 |
(C)支援機器等の持ち込み等に関する特別措置 | ① 本人が日常的に使用している福祉用具等(補聴器,拡大鏡,遮光眼鏡,耳栓,マスク,車椅子,杖等)の持ち込み許可 ② 読み書きを支援する機器(照明器具,下敷き,書見台,自助具等)の使用 ③ 特殊な椅子・机の使用 ④ 介助者の配置 |
(D)出題形式の調整に関する特別措置 | ① 問題用紙の拡大 ② テキストデータ(パソコン使用)による出題※注1 ③ 点字による出題 ④ 音声(録音,読み上げ等)による出題 |
(E)解答形式の調整に関する特別措置 | ① 解答用紙の拡大・解答欄の調整 ② テキストデータ(パソコン使用)による解答※注2 ③ チェック解答 ④ 口述筆記(代筆)または録音解答 ⑤ 点字解答 |
(F)試験時間の調整に関する特別措置 | ① 試験時間を1.2倍~1.5倍に延長(面接配慮,拡大,音声,チェック,口述,録音等) ② 試験時間を1.5倍~2倍に延長(点字,パソコン使用等) ③ 一般受験者が試験時間の5/6 (6分の5)~2/3(3分の2)程度で解答できる内容に問題数を調整(拡大,音声,チェック,口述,録音等) ④ 一般受験者が試験時間の2/3(3分の2)~1/2(2分の1)程度で解答できる内容に問題数を調整(点字,パソコン使用等) |
(G)代替措置 | ① リスニング試験のリーディング試験等への置き換え ② 筆記試験の一部又は全部のレポート試験への置き換え |
(H)その他の特別措置 | ① 上記(A)~(G)の措置が適当でない場合又は実施困難な場合の上記(A)~(G)に準じた特別措置 |
※注1:テキストデーターを読み上げるスクリーンリーダーを使用する.
※注2:視覚障害,上肢障害等の障害があるため手書きが困難な学生が,キーボードや特殊な入力端末(特殊マウス・キーボード・スイッチ・センサー等)を使用して解答する.
2.特別措置の内容・方法(例)に関する留意事項
特別措置の種類 | 留意事項 |
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(A)試験室や座席に関する特別措置 | 1. 視覚障害,聴覚障害,肢体不自由,発達障害,内部障害,感覚過敏,対人不安,アレルギー等の障害があり,座席によって受験上の制約が生じる学生に対して,必要に応じて座席指定の特別措置を検討する. 2. 評価の公平性および試験の円滑な実施の観点から,一般の受験生と同室で特別措置を行うことが適当でない場合または特別措置の実施が困難な場合,別室受験を検討する. |
(B)情報保障に関する特別措置 | 1. 聴覚障害,言語障害,発達障害等の障害があり,音声のみによる会話・情報伝達に支障がある学生に対して,必要に応じて情報保障のための特別措置を検討する. |
(C)支援機器等の持ち込みに関する特別措置 | 1. 視覚障害,聴覚障害,肢体不自由,発達障害,感覚過敏等の障害があり,支援機器の使用の可否が受験上の制約に大きく影響する学生に対して,必要に応じて支援機器等の使用を検討する. |
(D)出題形式の調整に関する特別措置 | 1. 視覚障害,肢体不自由,発達障害,感覚過敏等の障害があり,試験問題の読み取りに支障がある学生に対して,必要に応じて出題形式の調整・変更を検討する. 2. 読み書きにパソコンを使用する場合は,不正防止やパソコンの動作不良に対する対策・措置をあらかじめ講じておく必要がある. 3. 入学試験の点訳・墨訳においては,教育室アクセシビリティセンター会議に助言を求め,1)広島県立視覚障害者情報センター2)全国高等学校長協会入試点訳事業部等の専門機関等に依頼する. 4. 授業の成績・評価に係る試験の点訳・墨訳においては,教育室アクセシビリティセンター会議に助言を求め,1)アクセシビリティセンター2)広島県立視覚障害者情報センター3)広島大学教育学研究科などに依頼する. 5. 試験問題の内容・分量によっては,点訳対応が難しくなる場合がある.出題内容に図や表がある場合,その内容によっては,修正を必要とすることがあったり,触察・触読が不可能なため代替問題にする必要があることもある. |
(E)解答形式の調整に関する特別措置 | 1. 視覚障害,発達障害,感覚過敏,上肢障害等の障害があり,筆記に支障がある学生に対して,必要に応じて解答形式の調整・変更を検討する. 2. 読み書きにパソコンを使用する場合は,不正防止やパソコンの動作不良に対する対策・措置をあらかじめ講じておく必要がある. |
(F)試験時間の調整に関する特別措置 | 1. 視覚障害,聴覚障害,肢体不自由,言語障害,発達障害等があり,一般受験者と比較して問題の読み取り・聞き取りや筆記や発話等に著しく時間を要する学生に対しては,必要に応じて試験時間の延長・調整を検討する. 2. 試験時間の延長範囲の適切さは,障害の種別や程度,問題の内容,出題形式や解答形式などにより,異なるので,一律に規定することは出来ない.評価の公平性の観点から試験時間の延長・調整が必要であることが明らかな場合は,上記(F)①②③④の基準値を参考として,可能な試験時間の延長・調整を検討する. 3. 前後の試験や授業との重複が起きないように,必要に応じて,試験開始時間を早める等の調整をあらかじめ講じておく必要がある. 4. 前後の試験や授業の関係で,時間延長を行うことが難しい場合が考えられる.また長時間にわたる試験をさらに延長する場合,受験者の疲労・負担を考慮する必要がある.このような場合は,問題の量の調整や代替措置等も検討する. |
(G)代替措置 | 1. 聴覚障害のある学生へのリスニング試験等,通常の試験様式の調整や変更では障害による不利の改善が期待できない場合,別試験への置き換え等の代替措置を検討する. 2. 上記「1.特別措置の内容・方法(例)一覧」(A)~(F)の特別措置の実施が困難な場合,別試験への置き換え等の代替措置を検討する. |
(H) その他の特別措置 | 1. 上記「1.特別措置の内容・方法(例)一覧」(A)~(G)の措置が適当でない場合又は実施困難な場合,上記「1.特別措置の内容・方法(例)一覧」(A)~(G)に準じた特別措置を検討する. 2. 授業の成績・評価に係る試験において,当該学生の身体等の障害に関連する体調の不良等により,試験日に受験できない場合の追試等の取り扱いについては,担当教員の裁量とする. |
このガイドラインは,平成28年4月1日から運用する.